ファイバレーザー用光ファイバコンポーネンツ
光ファイバを増幅媒体とするファイバーレーザーは、高出力密度と高い効率性から、産業分野を中心に幅広く利用されています。
高出力なファイバーレーザーを実現するには、様々な光ファイバ部品が精密に組み合わされており、高性能化を支える重要な要素の一つが、当社が製造販売しているFBGです。FBGはレーザー光の波長選択性や安定化に不可欠な役割を果たしています。FBG以外にもファイバーレーザを構成するために必要な光ファイバ部品を提案いたします。
ファイバレーザーは一定の光出力で連続して発振する連続波 (CW) ファイバレーザーと、短い時間幅に光出力が集中するパルスファイバレーザーがあります。さらに、パルスファイバレーザーはパルスの時間幅やパルス化の手法で2種類に大きく分類することができます。
一つは共振器内部または外部に高速のスイッチを設ける手法です。特に共振器内にスイッチ (音響光学素子等) を設け、エネルギーを溜め込むことで発振する手法をQスイッチファイバレーザーと呼びます。Qスイッチファイバレーザーは一般的にナノ秒程度の時間幅となります。
もう一つは共振器の光の位相を揃えることで発振するモード同期ファイバレーザーです。モード同期ファイバレーザーの時間幅は一般的にピコ秒~フェムト秒となります。特に、光の強度によって透過率が変わる可飽和吸収効果を共振器内に設けることでパルス発振する手法を受動モード同期と呼びます。
製品詳細情報
モード同期ファイバレーザー
モード同期ファイバレーザーを構築する光学系は様々です。一例として以下の光学系があります。光の強度によって偏光状態が変化する現象である非線形偏波回転と、特定の偏光成分のみを共振器へ帰還させる偏波ビームスプリッタを用いて、高強度光のみを共振器へ帰還させることで等価的に可飽和吸収効果を実現します。
リング型:非線形偏波回転 (NPR) を利用
Figure-8:非線形増幅ループミラー (NALM) を利用
光カプラによる光の干渉を利用した非線形増幅ループミラー (NALM) を可飽和吸収体として用いる光学系です。光の強度によって伝搬時の速度 (屈折率) が変化する現象を利用し、右回りと左回りの光で増幅した光が伝搬する距離が異なることで高強度光に位相差が生じます。そして、再結合時に位相差の生じた高強度光成分のみが透過側に出力することで、可飽和吸収体として機能します。 (下図:Figure-8:非線形増幅ループミラー (NALM) を利用, ダブルゲイン型)
リング型:半導体可飽和吸収ミラー (SESAM) を利用
半導体可飽和吸収体ミラー (SESAM) を共振器に組み込み、可飽和吸収体として使用する手法もあります。他の2手法と比べると発振が容易な反面、SESAMの耐久面や寿命が欠点となります。
モード同期ファイバレーザーは、構成するファイバや素子で様々な発振状態を取ります。一般的なソリトンモード同期の他、ストレッチパルスや散逸性ソリトン、シミラリトンと呼ばれるものなどがあり、共振器から得られる時間幅や出力、スペクトルの形状等が異なります。また、モード同期ファイバレーザーの繰り返し周波数は共振器長に依存し、低繰り返し (数10 MHz程度) なものは微細加工等に、高繰り返し (数100 MHz~) なものは光コム等の計測分野等に用いられることが多いです。さらに、共振器の利得の高さなどにより、同じ光学系でも様々な発振状態を取ることがあり、例としてパルスの強度が周期的に変動するQスイッチモード同期や、パルスが複数に分裂するマルチパルスやノイズライクパルスがあります。特にノイズライクパルスはns程度の時間幅に無数の短パルスを内包するため、スペクトラムアナライザで観測すると広帯域でブロードなスペクトルを有します。これらの発振状態は単一のパルスで発振する状態と比べると好ましくない状態ですが、内部に無数の短パルスを有する性質を利用し、非線形光学効果を利用したスーパーコンティニューム光を生成するといった利用例もございます。
標準品
光ファイバコンポーネンツ | 用途 |
---|---|
FBG | 反射鏡、アウトプットカプラ |
アイソレータ | 発振の一方向化、規制発振の抑制 |
WDM | 励起光の注入 |
カプラ | アウトプットカプラ、非線形(増幅)ループミラー |
サーキュレータ | 双方向の光(SESAMやFBGからの反射光)を分離 |
CWレーザ
ファイバレーザーにおける増幅媒質である希土類元素添加ファイバの種類によって、レーザーの発振波長は異なります。 そのため、各増幅媒質の励起波長、発振波長に対応した光学素子を選択することが重要です。さらに、構築するファイバレーザーによって、光学素子に要求される性能は大きく異なります。 例えば、CWファイバレーザーは耐平均入力パワーが求められます。一方、モード同期ファイバレーザーの場合は耐ピークパワーが求められます。また、その発振スペクトルの広さから、広帯域にわたって動作する光学素子を選択することが望ましいです。
- 当社ではPMFのFBGを530nm~2100nmまで多くの実績がございます
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共振器用FBGは、高反射 (HR) および低反射出力カプラ (OC) として使用して、お客様のご要望に応じた「任意波長」、「反射率」での製造が可能です。HRとOCミラーの正確な波長マッチングが必要になりますので、波長の不一致を避けるため、HRとOCの波長差を±0.1nm以内に合わせたペアでご提供いたします。位相マスク法ではございませんので、試作・カスタム対応の検討がしやすくなっております。ぜひともご相談ください。
- 2.8μmレーザー用FBGの製造(開発中)
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2.8μmレーザー用FBGは、その特殊な波長帯のため、一般的なFBGの製造方法とは異なる点があります。ここでは、主な製造方法とそれぞれの特長、そして2.8μm波長帯に特化した注意点について解説します。
フェムト秒レーザー法
- 原理フェムト秒レーザーの極めて短いパルス幅と高いピークパワーを利用し、光ファイバのコア内に微小な構造を形成します。
- 特長高い柔軟性:任意の周期や形状のFBGを製作可能、高精度:ナノメートルの精度で構造を制御できる
- ファイバ材料2.8μm帯で低損失なファイバ材料を選択する必要があります。例えば、フッ素ドープシリカファイバなどが使用されます。
- 構造設計長波長帯のFBGでは、より深い屈折率変化が必要となるため、構造設計が複雑になりますが、当社の製造技術でFBGの製造を実現させます。
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Tel.0774-66-5558