偏波保持ファイバを用いたファイバレーザの単一発振に最適なFBG

ファイバレーザは、光ファイバを利得媒質としたレーザーで光を増幅し出力する高性能なレーザー技術の一つです。一般的な個体レーザーやガスレーザーと比べ、
- 高効率:ファイバ内で光を直接増幅するため、エネルギー変換効率が非常に高く、省エネルギーで運用できる、
- 高い信頼性と安定性:光ファイバは物理的に丈夫であり、熱管理もしやすい構造なため、長期間安定して動作できる、
- 優れたビーム品質:シングルモードファイバを用いることで、出力されるレーザ光のビームが非常に細く、精密な加工や測定に適している、
- 柔軟性:光ファイバの形状を活かし、コンパクトで柔軟な設計が可能なため、装置の小型化や狭いスペースでの利用ができる、
というような利点があります。
製品詳細情報
ファイバレーザーの共振器
ファイバレーザの共振器の構成として、FBGを用いる方法があります。 増幅用の希土類ドープファイバの両端に、99%以上の高反射率のHR(High reflectivity )-FBGと10~30%程度の低反射率のOC(Output coupler)-FBGを接続し、共振器を構成したものが最もシンプルな系となります。
PPLN等の波長変換素子を用いた高調波発生用の基本波として使用する場合は、波長変換時の効率を高めるために、単一偏光化することが望ましいです。単一偏光化のためにインラインポラライザ(ILP)を組み込む方法があります。
しかし、
1.共振器の損失が大きくなるため、発振効率が低下する、
2.構成部品が多くなるためコストが上がる、
3.ILPはハイパワーに対する耐久性に難がある、
といったデメリットがあるため、ILPを使用しない、直交融着法が採用されることがあります。直交融着法とは、下図のように、偏波保持ファイバ(PMF:Polarization maintain fiber)に形成したHR-FBGとOC-FBGの偏光軸を90°ずらして融着し、共振器を構成する方法です
FBGはPMFの応力付与部によりslow軸とfast軸でFBGのブラッグ波長が異なります。
同じ波長のPMF-FBG同士を偏光軸を一致させて融着するとslow軸とfast軸でそれぞれ共振器となり、2つの偏光が発振します(左下図)。それに対しslow軸とfast軸を90°ずらした直交融着をするとHR-FBGのfast軸とOC-FBGのslow軸のみが波長一致するため単一偏光が発振します(右下図)。HR-FBGのfast軸とOC-FBGのslow軸のブラッグ波長を合わせたFBGを製作する必要がありますが、一般的なマスク法だとブラッグ波長を変えるためには複数の位相マスクを用意する必要がありイニシャルコストがかかります。当社では干渉系をベースとした独自光学系によりブラッグ波長を容易に変えることができますので、直交融着に適したFBGをイニシャルコストなしでご提供できます。

理屈としては上記の通りですが、実際に構成すると単一偏光発振しないことがあります。HR-FBGやOC-FBGの帯域幅が広かったり、HR-FBGとOC-FBGの波長ズレにより、もう片方の偏光軸に被って発振したりすることがあります。当社では単一発振するように最適化したFBGをご提案、ご提供していますので、FBGによるファイバレーザをご検討の際はぜひともお問い合わせください。
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Tel.0774-66-5558